_企業が見るポイント(履歴書)
【内容ダイジェスト】
◆履歴書には加点方式と減点方式がある
・名前や大学名など事実を書くスペースは減点方式
(ミスなく書けて当たり前。ミスがあると減点される)
・志望動機や自己PRを書くスペースが加点方式
(ここで他の就活生と差別化を図る)
◆減点方式では基本的なマナーを見ている
(1)履歴書が学校指定のものになっているか。
(2)証明写真はスピード写真で済ませてないか。
(3)文字の大きさが統一されているか。
(4)誤字脱字がないか。
◆加点方式では学生のポテンシャルを見ている
[1]学生の能力と仕事内容はマッチするのか
[2]学生の志向と社内風土はマッチするのか
[3]総合的に見て、その学生がポテンシャルを発揮しやすい環境なのか
【プロローグ】
就活でよくある悩みや陥りがちな罠を紹介しながら、ストーリー形式で解決していく構成になってます。登場人物と自分の性格を照らし合わせて、共感できる部分はぜひ参考にしてください。
【登場人物】

~就活マスター~
就活のことなら何でも知ってるプロのアドバイザー。

~ヒカリ(就活生)~
楽観的な性格。直感で判断することが多く論理性に課題。

~トオル(就活生)~
冷静でクールな性格。頭で考えすぎて動けない事が多く行動力に課題。

エントリーシートと同じように、履歴書に関しても企業が見ているポイントを説明しますね。

はい!
お願いします!!

企業が見ているポイントがわかれば、どこに気を付ければ良いのかわかるので、ありがたいです。

そうですね。
それではまず履歴書のフォーマットを見ながら説明していきます。


履歴書は大きく2つに分けて評価することができます。
赤枠で囲われた部分が”減点方式”で、
青枠で囲われた部分が”加点方式”です。
赤枠は事実を書く部分なので、ミスしないことが大前提です。
ここは完璧に書けて当然の内容となるため、加点はありません。
逆にミスすると減点されるので、注意が必要です。
青枠はオリジナリティを出せる部分なので、ここで差別化が図れます!
どこを見られてるのかポイントを抑えて、加点を狙っていきましょう。

そうなんですね!
それぞれ、何をすると減点されるのか、何をすると加点されるのか細かいポイントを教えてください。

さっきの履歴書には「資格」の欄がないですが、もしある場合は”減点方式”のほうに入るんですか?
事実を書くから”減点方式”かなと思ったんですが・・・

そうですね。
資格の欄がある場合は”減点方式”のほうに入るケースが多いと思います。
取得している資格によっては加点されるでしょ!と思うかもしれないですが、資格によってダイレクトに選考通過率が上がることは非常に少ないです。
ただ資格を取る過程の努力を評価されたり、意識の高さを評価されて、選考通過率が上がることはあります。
それでも実際は資格そのものが選考通過の決め手にならないので、ちゃんと形式的に書けているかを評価します。
したがって”減点方式”とする会社が多いと思います。

なるほど。わかりました!
それでは続けて、それぞれの減点・加点ポイントを教えてください。

では、減点方式から見ていきましょう。


ここでは基本的なマナーを見てます。
例えば、
(1)履歴書が学校指定のものになっているか。
(2)証明写真はスピード写真で済ませてないか。
(3)文字の大きさが統一されているか。
(4)誤字脱字がないか。
などです。
(1)の学校指定以外の履歴書を使うと、書ける量が少ないのでそれだけで不利です。
またコンビニなどで売ってる市販の履歴書を使っていると、手軽に済ませている感じがして、相手に失礼になります。
例えば、誕生日プレゼントがコンビニで売ってる商品だと、ちょっとガッカリしますよね。
だいぶ手軽にプレゼント済ませたな。と思うはずです。
学校指定の履歴書は大学内で販売されているので、必ずそれを使いましょう!
(2)証明写真はスピード写真でも品質が良いし、写真屋さんで撮ったものと差がないから、失礼にならないんじゃないかと思うかもしれませんが、これも手軽に済ませた感じがするので、相手に失礼になります。
あなたのためにしっかり準備をしましたよ。とアピールするためにも、スピード写真は避け、写真専門店で撮りましょう。
(3)スペースに対して文字の量が多いと、出だしの文字より後半の文字がどんどん小さくなっていくことがあります。
文字量とスペースを考えずに書き始めたという事で、計画性の無さを印象付けてしまったり、バランスが悪いけどこれでいいや。と提出してしまう大ざっぱな性格だという印象を与えたりします。
鉛筆やシャーペンなどで薄く下書きをしてから、ボールペンで書くと今の問題は回避できるので、面倒臭がらずに試してみてください。
(4)誤字脱字は当然、印象が悪く減点になります。
書き間違えをリカバリーしようとして、二度書きする人もいますが、絶対ダメです。
履歴書という正式な書類をごまかそうとする行為は最悪の印象を与えます。
社会人でいうと正式な契約書をごまかそうとする行為と変わらないからです。
契約書でそれをやってしまうと犯罪です。
履歴書で犯罪になることはないですが、書き間違えは上から二度書きして修正しようとせず、イチから書き直しましょう。
最後の1行で書き間違えたら、書き直す時間がもったいないとか、面倒とか思うかもしれないですが、結局二度書きして提出しても不合格になるだけなので、それこそ提出する時間の無駄です。
履歴書を提出するのであれば、多少時間がかかっても万全の状態で提出することをオススメします。

当たり前のことだけど、気を付けるポイントはたくさんあるんですね。

そうですね。
意外と履歴書から読み取れる情報は多いので、細心の注意を払って作った方が良いです!


ここでは、単純に記載内容に抜け漏れがないか、文字の大きさやバランスが良いかどうか見てます。
実は他にも見てる部分はあるんですが、それは他のページの【選考基準の裏話】というパートで詳しく説明するので、ここでは一旦、減点方式だけ気を付けておきましょう。

その裏話って気になるけど、、、一旦わかりました。

では次に”加点方式”を説明していきます。


ここでは基本的に学生のポテンシャルを見てます。
例えば、
[1]学生の能力と仕事内容はマッチするのか
[2]学生の志向と社内風土はマッチするのか
[3]総合的に見て、その学生がポテンシャルを発揮しやすい環境なのか
などです。
学業に関する質問は、大学生の本業である”勉強”をしっかりやってきたのか見ています。
いわゆる上の[1]と[2]を見てます。
この部分は重視する企業と重視しない企業がハッキリ分かれます。
重視しない企業は面接時の話のネタ程度にしか使われませんが、重視する企業は「なぜそれに力を入れたのか」「何を目標に取り組んだのか」「目標に対して結果はどうだったのか」等、詳しく聞かれることがあります。
どんな分野の勉強に興味があるのか知ることで、”志向”がマッチしているか確認します。
また目標に対して、どのように努力したのか、どうのように結果を出したのか知ることで、”能力”がマッチしているか確認します。
企業の事業内容や企業理念などを確認して、自分の書く内容が大きくズレないように注意しましょう。
次に「学生時代に力を注いだこと」ですが、これは基本的に学業以外のほうが良いでしょう。
もし得意な学科とかゼミの欄がなければ、学業のことを書いても良いですが、企業へのインパクトが弱いので、学業以外のことを書くことをオススメします。
そしてここでも、
[1]学生の能力と仕事内容はマッチするのか
[2]学生の志向と社内風土はマッチするのか
の2つを確認してます。
どんな事に興味をもって力を入れていたのか知ることで、”志向”を把握することができます。
そしてどんな努力をして、どんな成果物があったのか知ることで、”能力”を把握することができます。
企業はそれを総合的に判断して、ポテンシャルが発揮できる環境がうちの会社にあるのかどうか、ジャッジすることになるでしょう。

学業にあんまり力を入れてなかったから、それ関係の質問は回答に困りますね。笑
あと学生時代に力を注いだことは、ひとつ自信のあるエピソードがあるので、大体それで書く内容は決まりかなと思ってます。

『過去=説得力』だということを忘れないでくださいね!
学生時代に力を注いだことは、過去の話です。
この過去の話は、どこに影響するかというと未来の話です。
未来の話をする時に”説得力”として大きな影響を与えます!
例えば、いつも遅刻をする友達が「明日は絶対遅刻しないから!」と言っても説得力ないですよね。
なぜ説得力がないかというと、その人の”過去”のせいです。
”過去”にたくさん遅刻をしているから、未来の約束が信用できない。
信用できないから、”説得力”がない。
だから『過去=説得力』になります。
志望動機や入社後の目標でどんなに素晴らしい”未来”を語っても、その人の過去が良くなければ、説得力はありません。
では、完璧な過去をもっていないとダメなのでしょうか。
果たして、そんな完璧な過去をもってる人はいるのでしょうか。
結論、いません!
過去、何千人と就活生を見てきましたが、完璧な過去を持つ学生は一人もいませんでした。
では、どうすれば説得力が出るのでしょうか。
ここで大事になるのが、”つながり”です!
”未来”に対して、つながっている”過去”であれば説得力が出ます。
例えば、先ほどの遅刻ばっかりする友達の「明日遅刻しない!」は説得力ないですが、
もしその人が学業では学年トップでめちゃくちゃ頭が良かったとします。
その友達の「こうやったら勉強うまくいくよ!」という言葉には説得力があります。
何が言いたいかというと、主張する”未来”によって、説得力がある”過去”は変わるということです!
だから企業に伝えたい、”未来”のメッセージ(志望動機等)に対して、説得力のある”過去”を用意すれば良いのです。
当然、企業ごとに志望動機は変わりますよね。
ということは説得力に必要な”過去”は全部違うはずです。
毎回同じ内容の「学生時代に力を注いだこと」を書いていたら、説得力がある時と、説得力がない時が、頻繁に出てきて、パフォーマンスが不安定になることは簡単に想像できます。
ちゃんと”未来”に合わせて、”過去”を伝えるようにしましょう。

確かにそうですね。
全部の”未来”に説得力のある万能な”過去”はないから、その都度、カスタマイズしないといけないですね。
んー、でもそんなに色んな経験してるわけじゃないから、バリエーションなんてたくさん作れない気がします。。。

経験はひとつでも、”視点”を変えるとバリエーションは増えます!
例えば、トオルさんが自信のあるエピソードは何ですか?

サークルの合宿で経理係を担当したエピソードです。
基本的に学生はお金がないので、予算を立てるところで失敗すると参加者が少なくなって、1人当たりの負担額が増えてしまうので、事前にしっかり調べて、予算内に収めるという役割があります。
予想外の出費が発生しないように細かく計算したり、予定を何通りもシミュレーションして費用が抑えられるベストプランを探したりと、結構大変でした。
ここからしっかり計画を立てて物事を進めることができる「計画力」をアピールしようと思ってます。

なるほど。いいですね!
ではそれを進める時に、全部1人でやりましたか?

いえ、色んな人に相談したり、交渉したり、たくさんの人と協力しました。

そしたら、周りを巻き込む力、いわゆるリーダーシップもアピールできますね。
あと金額の交渉をしたり、サークルメンバーと妥協点のすり合わせをしていれば、折衝力もアピールできます!

なるほど!
そんな風に視点を変えるだけで、アピールポイントが変わっていくんですね!

そうです。
だからたくさんの経験はなくても、バリエーションが増えると言ったのです。
では最後に、自己PRと志望動機です。


ここでは一貫性を見てます。
先ほども話したように”過去”と”未来”がつながっていると説得力があるため、履歴書全体を通して、一貫性があるか見ます。
そして特に”自己PR”と”志望動機”は一貫性があるのかどうかを見られます!
その中でも自己PRは、
【1】成果物
【2】活用方法
を見られます。
成果物とは「成功」という意味ではありません。
失敗してても、得たものがあれば、成果物です!
活用方法とは、その後どのように活用できたか、という意味です。
せっかく良い経験をして、成果物を手に入れたのに、何も活かしていなければ、成果物を手に入れてないのと一緒です。
宝くじが当たっても、換金しなければ、当たってないのと一緒ですよね。
自己PRでは、どんな成果物があったのか確認し、それがその後、どのように活かされたのか知りたいので、それらの情報を入れるように注意しましょう。

ただアピールするんじゃなくて、「得たもの」と「活かしたもの」をちゃんと記載することで、企業側がポテンシャルを把握しやすくなるということですね。

その通りです。
見る側に配慮した文章も、ある意味就活マナーですね。
ここからは「志望動機」の話に移ります。
「志望動機」は、企業の目指す方向性と合っているか確認する部分です。
バスに乗っていて行先が違うと気付いたらどうしますか?

急いで降ります!

そうです。
それが会社でいう退職です。
企業側が最も恐れていることは、新卒が入社して3年以内に辞めてしまうことです。
だから、途中で「あっ、行先が違う!」と思ってほしくないのです。
このミスマッチを防ぐためにも、志望動機で方向性が合っているか確認するわけです。
企業のビジョンを理解して、自分の未来を重ね合わせるように志望動機が作れると理想的ですね。

なんか難しそうだけど、すごく大事なことだということは分かりました!
独りよがりの志望動機にならないように注意します。

教えてもらったことを、自分の作った履歴書と照らし合わせてみると、だいぶ突っ込みどころ満載でした。。。
ちゃんと見直して作り直します!

ただ、時間も無制限に使えるわけじゃないので、完璧を求めないことも重要です。
そもそも同じ会社でも見る担当者が違えば評価が多少変わるので、完璧な履歴書など存在しません。
自分でOKラインを決めて、それを下回った時だけ、書き直すようにすると、無駄に履歴書作成の時間を取られることがなくなると思います。

OKラインって何点ぐらいだろう?
70点?
いや、もう少しいけるか・・・
65点?
ちょっと低すぎるか??
でも私は履歴書より面接で勝負するタイプだから60点のラインにするか??

ギリギリラインを狙おうとするなよ!笑

ヒカリさん勝負師ですね。

んー、、、
とりあえず、「これはダメだ!」と迷わず判断できるものは書き直しで、それ以外はOKにしちゃおう!!

やっぱり最後は直感で選ぶんだな!笑