_自己PRの極意

内容ダイジェスト】

◆自分と相手が同じ映像を思い浮かべるように伝える
 ⇒共通言語があると同じ映像を浮かべやすい

◆共通言語には「数字」が効果的である
 ⇒数字が最もイメージがズレにくい!

◆比較材料を入れると評価が上がる
 ⇒良いかどうかの判断は比較材料で決まる!

◆比較のパターンは3つ
 (1)他人と自分を比較する
 (2)過去の自分と比較する
 (3)他のグループと比較する

◆論理的に伝える方法
 ⇒ストーリーを逆算形式で伝える

プロローグ
就活でよくある悩みや陥りがちな罠を紹介しながら、ストーリー形式で解決していく構成になってます。登場人物と自分の性格を照らし合わせて、共感できる部分はぜひ参考にしてください。

登場人物

~就活マスター~

就活のことなら何でも知ってるプロのアドバイザー。

~ヒカリ(就活生)~

社交的で楽観的な性格。直感で判断することが多く論理性に課題。

~トオル(就活生)~

冷静でクールな性格。頭で考えすぎて動けない事が多く行動力に課題。


トオル

自己PRってどうしたらうまくなりますか?自分は口下手なほうだし、何かアドバイスがあれば教えてほしいです。

ヒカリ

私は論理的に話が構成できなくて、説得力がない気がします。雰囲気で突破するのは限界があると思うので、論理的に話せるコツがあれば知りたいです。

就活マスター

2人とも悩みが具体的で良いですね!
では、その両方に対して解決策をお伝えします。

まず、伝えたいことが相手に伝わる最も良い条件は、同じ映像を見ることです。
「百聞は一見に如かず」とよく言いますが、まさにその通りで、相手にズレなくちゃんと伝える最良の方法は、”見せる”ことです。

ただ、自己PRで伝えたいことは、学生時代の経験(過去)や将来やりたいこと(未来)の話です。
ということは、映像で見せることがほぼ不可能です。

ではどうすれば良いのか。
それは、自分と相手がなるべく”同じ映像を思い浮かべるように伝える”ことです!

トオル

うーん、同じ映像が浮かぶように伝え方を工夫すれば良い。ということは頭で理解したものの、実際にどうすれば良いのか全然イメージがわきません。

就活マスター

まぁそうでしょうね!
ここからが本題です。

相手と同じ映像が浮かぶようにするためには、「共通言語」が必要です。共通言語とは日本語とかそういう意味ではなく、同じ認識をもっている言語のことです。

例えば、仲の良い友達や家族であれば、「昨日話してたアレってどうなった?」と言えば、同じものを思い浮かべて、「あぁ~!アレね!もう大丈夫だよ」と普通に会話が進みます。
いわゆるこれが共通言語です。

さぁここでもうひとつ疑問が浮かんだはずです。
面接官は初対面だから、そんな共通言語あるわけないじゃん。と思いましたよね。

ヒカリ

はい!思いました!
結構近い距離の人や頻繁に会ってる人じゃないと共通言語はないかと・・・

就活マスター

おっしゃる通りで、共通言語はなかなか難しいです。
例えば、三角を書いてください!とお願いしても、「△」と書く人と「▽」と書く人が現れます。

これって同じ映像が浮かんでる状態ですかね?
違いますよね。

「三角を書いてください」という非常にシンプルな会話ですら、我々は同じ映像が浮かばないのです。

トオル

あの~、どんどん絶望的になっていくんですけど・・・

就活マスター

これで終わったら、私は就活マスター失格ですね。

ただ安心してください。ちゃんと打開策があります!

同じ映像を浮かべるための一番効果的なツールは「数字」です!
例えば、1は1だし、2は2です。
それ以上でもそれ以下でもありません。

自己PRの中に「数字」を入れると、自分と相手の映像がズレにくくなります!
具体的な例で見てみましょう。

×「すごく努力をした」

○「1日3時間を1年間続けた」

×「お客様から感謝されることが多い」

○「1週間で10回以上、お客様から感謝される」

×「大人数のサークルをまとめた」

○「100人規模のサークルをまとめた」

このように具体的な数字を入れることで、イメージがわきます。
これが同じ映像を浮かべるコツです!

ヒカリ

なるほど!数字は人によってズレないし、数字が入っているとイメージしやすいです!

トオル

これなら口下手な自分でも、すぐに実践できます!

就活マスター

ただこれだとまだ甘い!!
数字を入れると何となく映像は浮かびますが、それが本当にすごいことなのか、判断ができません。

例えば、「大学からプログラミング言語の勉強を始めて、1日3時間の勉強を毎日続けた結果、3か月でホームページの作成ができるようになりました」
という自己PRがあったとします。

具体的な数字が入っているので、どれぐらい努力したのかはイメージがわきます。
ただ、3か月でホームページの作成ができるようになったことは、果たしてすごいのでしょうか。
判断できますか?

トオル

確かに、良い悪いの判断はできないですね。
どうすれば良いんでしょうか?

就活マスター

ここでポイントになるのは、判断基準です!
判断基準を作るためには、「比較材料」が必要になります。

わかりやすい例を紹介しましょう。
下の画像を見てください。このAと書いてある丸は大きいですか?小さいですか?

トオル

小さく感じますね。

ヒカリ

私は大きいと感じました!

就活マスター

なるほど!意見が割れましたね。

では次に、下の画像を見てください。
これだとAの丸は大きいですか?小さいですか?

トオル

当然、大きいです!
ひっかけ問題じゃないですよね?

ヒカリ

もちろん私も大きいと思います。

就活マスター

これは意見が一致しましたね!

Aの丸は全く同じ大きさなのに、なぜ評価が変わったのでしょうか。
単純なことです。

最初の丸はひとつしかないので、比較材料がありませんでした。
なので、”それぞれの判断基準”によって評価しました。
だから意見が割れたのです。

2枚目の画像は、Bという丸があったことで、比較材料ができました。
こちらで意図的に判断基準を作ったから、トオルさんもヒカリさんも同じ評価をしました。

ポイントは”それぞれの判断基準”で評価させないということです。

トオル

そうか!評価はあくまでも相手の判断基準で決まるんだ!

就活マスター

そうです!
だから判断基準となる比較材料が必要なのです。

ここで一番伝えたいことは、Aの丸が「大きい」という価値を作っているのではなく、Bの丸が「大きい」という価値を作っているということです。

就活マスター

別の言い方をすると、Aが大きいか小さいか評価されるのはBの大きさ次第です。
就活でも全く同じことが言えます。

先ほどの例でいうと、
「大学からプログラミング言語の勉強を始めて、1日3時間の勉強を毎日続けた結果、3か月でホームページの作成ができるようになりました」
という文章に比較材料を入れると、

「一般的にホームページ作成には半年かかることが多いですが、私は3か月で作成することができました」
こうすることで、3か月で作成できることが、すごいことであると評価できるわけです。

丸の画像に当てはめると、「一般的には半年かかる」がBの役割を果たしていて、「3か月で作成した」がAになります。
こう見ると、Aを引き立たせているのが、Bだということがわかると思います。

トオル

評価は相手の判断基準で決まる!という法則にプラスして、判断基準は比較材料で決まる!ということですね。

ヒカリ

そっか!比較材料がないと、相手の判断基準に評価を任せちゃうから、自分がすごいと思ってアピールしても、評価されないことが起こっちゃうんだ!

就活マスター

まさに!
TOEIC800点です!とアピールしても、相手が900点の人であれば、大した評価はされないでしょう。

ただ、「大学入学時はTOEICが400点でした。でも1週間に10時間の勉強時間を確保して、2年間続けた結果、800点に上げることが出来ました」という比較材料を加えることで、900点の人から見ても、2年間で400点も上げるのはスゴイ!と評価してもらえます。

ちなみに、比較材料は大きく3パターンあります。
(1)他人と自分を比較する
(2)過去の自分と比較する
(3)他のグループと比較する

(1)は先ほどの、3か月でホームページが作れるようになったエピソードが当てはまります。
「一般的には●●だけど、私は●●です。」
とか
「一緒にやっていた他のメンバーは●●だけど、私は●●です。」
のように使います。

(2)は今話した、TOEICのエピソードが当てはまります。
「元々は●●から始めたものの、数か月後には●●になってました。」
とか
「始めた当初は●●しかできなかったけど、2年後には●●まで出来るようになってました。」
のように使います。

(3)は個人で何か比較して自慢できることはないけど、所属していたグループが良い成果を上げた場合などに活用できます。
「他のサークルは中心メンバーが勝手に活動内容を決めて、他のメンバーはそれに合わせるスタイルだけど、こっちのサークルは、メンバーと一緒に活動内容を決めて実施するので、参加率が高く、辞める人も少ないです。」
みたいなパターンです。
所属していたグループが良い成果を出した場合はそれに乗っかっても良いのです!
ただ、そのグループの中でどんな役割だったのかは聞かれると思うので、答えられるように準備が必要です。

ヒカリ

比較材料は3パターンですね!
なんかイメージわいてきました!
数字を入れて、比較材料を使えば、伝えたいことが伝わりやすいんだ!

就活マスター

最後に、ヒカリさんが気にしていた、論理的に話を組み立てる方法について解説します。

飛躍的に効果があるわけではないですが、知っておくと便利なので、ケースバイケースで使ってください。

例えば、「あなたの将来の目標を教えてください。」と面接官に質問されたとしましょう。

普通は、「3年以内に基礎的な知識を身に付けて1人で業務をこなせるようになります。そして、5年以内に後輩育成など、学んだことを教える立場になりたいです。さらに、10年後にはひとつのプロジェクトを任せてもらえるような責任ある仕事ができる人材になりたいです。」
こんな感じですかね?

これをちょっとだけ論理的に見せるには、「逆から伝える」という方法があります。
「私は10年以内にひとつのプロジェクトを任せてもらえるような責任ある仕事ができる人材になります!そのために、5年以内には後輩育成など、学んだことを教える立場になりたいと思っています。そうなると3年以内には基礎的な知識を身に付けて1人で業務をこなせる人材になる必要があると考えています。」
このように、逆算の考えで伝えることで、少し論理的に聞こえます。

ヒカリ

確かに!論理的に聞こえますね!
すごいワザ聞いちゃった~♪

トオル

「わかる」と「できる」は違うからな!

試しにやってみたらどう??

ヒカリ

私は3か月後には、彼氏を作ります!
そのために2か月以内に5キロ痩せます!
したがって、1か月以内に今引き出しに入ってるお菓子を全部食べる必要があります!

どう?どう??

トオル

絶対ダメだろ!
最初の1か月で5キロ増える計画じゃねーか!

就活マスター

そもそも5キロ減ると彼氏ができるというロジックがおかしいかと・・・

ヒカリ

えぇ~!

じゃあそれならマッチングアプリに登録だ!

就活マスター

論理的になる練習は、これにて終了ですね。笑