_3つのフェーズで変わる選考基準
【内容ダイジェスト】
◆選考フェーズは大きく3つ
1.序盤
2.中盤
3.終盤
◆それぞれの選考基準は?
1.最低限必要とする素養が満たされているか
例)人柄・・・対人能力・マナーなど
価値観・・・働く上で何を重視するか
地頭・・・一般教養や思考力など
2.「志向」と「能力」が基準をクリアしてるか
3.「覚悟」が出来ているか
【プロローグ】
就活でよくある悩みや陥りがちな罠を紹介しながら、ストーリー形式で解決していく構成になってます。登場人物と自分の性格を照らし合わせて、共感できる部分はぜひ参考にしてください。
【登場人物】

~就活マスター~
就活のことなら何でも知ってるプロのアドバイザー。

~ヒカリ(就活生)~
社交的で楽観的な性格。直感で判断することが多く、論理性に課題。

~トオル(就活生)~
冷静でクールな性格。頭で考えすぎて動けない事が多く行動力に課題。

企業側が選考の時にどんなところを見ているのか、選考基準について知りたいのですが・・・

選考基準ですか。
とても大事なポイントに気付きましたね!

あっ!私もそれ気になる!!
どんなところを見てるのか分かれば、自分が気を付けなきゃいけないポイントも把握できるので!

わかりました。それでは企業の選考基準について説明しましょう。
まず、選考基準は大きく3つのフェーズで変わります!

3つのフェーズって何ですか?

就活では「序盤」・「中盤」・「終盤」と選考フェーズを大きく3つに分類できます。
具体的には下の図のようになります。


序盤はいわゆる一気に複数人の選考を行える形式のものです。
企業としては本来、新卒を採用するときに全学生と個別で話をして慎重に選考したいところではありますが、学生の数と採用担当の数を考えると現実的ではありません。
そこで考え出された選考方法が「序盤」の一気に複数人の選考を行える方法です。
多くの学生を一気に選考できるため、企業としては時間短縮や採用コストの削減につながるのでメリットはありますが、逆にデメリットもあります。
それは一人一人の学生を深く知れないということです。
ということは、この序盤の選考基準はどれだけ企業のことを知っているのか等の「深さ」ではなく、その企業で働くための「最低ライン」をクリアしているかどうかになります。

最低ラインって具体的にはどこを見てるんですか?

主なものは、
(1)人柄(対人能力やマナーなど)
(2)価値観(何を大事に考えて働くのかなど)
(3)地頭(一般教養や思考力など)
の3つになります。
当然、企業によって違いはありますが、この3つは外したくないと思っている企業が多く、個別に面接をしなくても確認できる項目になってます。
説明会への参加態度や書類の書き方でマナーは把握できます。
グループディスカッションやグループ面接である程度の対人能力は把握できるでしょう。
またエントリーシートや適性テストで価値観を探ることができますし、WEBテストや履歴書の学歴を見れば、地頭を把握することはできます。
業界によって人柄重視や地頭重視など、重視するポイントは違うので、もし序盤が全然通過しないようなら、自分との相性が悪い業界の可能性もあるので、志望業界を変更することも視野に入れた方が良いでしょう。

えぇー!!志望してる業界をそんなに簡単に変えられないですよー!!またイチから業界研究やらないといけないとか、ちょっとしんどいし・・・

でも落ち続けるとヘコむだろ?
しかも180度方向を変えろって言ってるわけじゃないんだからさ。

その通りです!
志望業界を変更する時は、今まで希望してた業界を0にして、他の業界に一気にシフトチェンジするわけじゃなくて、応募する企業の中で何割か他の業界も混ぜていくイメージです。
そして業界も希望していたものに関連している業界であれば、イチから業界研究をする必要もなく、ある程度予備知識がある状態なので、そこまで情報収集に苦労しないと思います。

そっか!取引関係にある業界とか、そこを支えている業界とかであれば確かにイメージしやすいかも!
その選択肢も頭に入れておきます!

では、次に「中盤」の選考基準ですが、ここから個人面接になるので、いわゆる「深さ」が必要になってきます。
一部、グループ面接でも2~3人の少人数で、時間をたっぷり取っている企業もあるため、その場合はグループ面接でも「深さ」を求められます。

先ほどからおっしゃっている「深さ」がイマイチまだピンとこないのですが、何なんですか?

「深さ」とは表面的な情報ではなく、内面的な情報です。
もっと具体的いうと、内面的な情報は【志向】と【能力】です。
人柄はパッと見で、「明るい人だな」とか「真面目そうな人だな」とかわかりますよね?
ただその人がどんな志向なのか、どんな能力をもっているのかは、パッと見でわかりません。
もしパッと見て、「この人はやりがいよりお金重視の価値観だ!」とか「課題解決能力が高い人だ!」とわかったら、その人には占い師をおすすめします。
これが表面的な情報か、内面的な情報の違いです。
内面的な情報は深く相手を知らないと、なかなか見えてきません。だから個人面接でないと判断できない部分が多いのです。
トオルさん、イメージできましたか?

はい!バッチリです!!

良かったです。
では志向と能力はどうやって企業が見ているのか?
ここを抑えておけば、個人面接で気を付けるポイントがわかるので、事前準備で注力するポイントがわかります。
まず志向はどうやって見ているのかというと、今までどんな経験をしてきたのかではなく、なぜその「判断」をしたのかです。
例えば、ずっと部活でサッカーをやってきました。という経験から負けず嫌いという志向をアピールしたとします。
これってサッカーを経験している人は全員負けず嫌いという前提条件が入ります。でもそんなことはないはずです。
経験そのもので志向をアピールするのではなく、練習がきつくて辞める部員が多い中、続けるという「判断」をしたのは、ここで辞めたら自分に負けたことになる、そんなの絶対に嫌だと思い、必死に練習に食らいつきました。最終的にはレギュラーを獲得して・・・。みたいな内容であれば、どんな判断軸で頑張れる人なのか志向をアピールすることができます。
なので志向はあくまでも「判断」です。
なぜそういう判断をしたのか、その理由がしっかり話せると個人面接で志向をしっかりと伝えられます!
ただそもそも企業が求めている志向に合致してないと、伝わっても不合格になるので、気を付けてくださいね。
次に能力はどうやって見ているのかというと、シンプルに過去です。
過去の経験からどんな実績を出したのか、これが一番わかりやすい能力アピールです。
ただし、注意すべきポイントは結果だけが全てじゃないということです。
「高い実績=能力が高い」ではなく、最も大事なのは「学び」です。
例えば、全国大会1位の実績があります。という人が1位になるために努力したことは何ですか?と聞かれて、「とにかく人一倍頑張りました」と回答したとしましょう。
この人が全国1位という実績から学んだことは、「人一倍頑張る」という内容です。
果たしてこの人が社会人になったとき、「人一倍頑張る」ことで必ず活躍できるようになるのでしょうか。
経験から何を学んだのか、これは非常に高い能力であり、全国1位の実績はなくても、「バイトの失敗から情報共有の重要性を学び、サークルでも活かした結果、参加率が高まりサークルを活性化することができました。」のようなものでも十分です。
学んだことが他でも活かせて、成功につながっているからです。
当然、仕事でも情報共有が重要だということはイメージできると思うので、「人一倍頑張る!」よりは明らかに評価が良いでしょう。

そうなんですね!私、少し安心しました。
人よりすごい経験とかしてないし、大した武器もないと思っていたので、今の情報は参考になります!!
インパクトのある実績なんかなくても、しっかりと伝えるところを伝えれば、企業は見てくれるんだ!

そうです。少しハードルが下がりましたかね。
では最後に「終盤」のポイントを解説していきます。
最終面接では、社長や役員など経営層の人と面接をすることになります。経営層の人はものすごく忙しいはずなのに、なぜわざわざ学生との面接に時間を使うのでしょうか。
トオルさんわかりますか?

それぐらい重要だということですか?

まぁそうですね。
ではなぜ、それだけ重要度が高いと思いますか?

んー・・・
新卒はその企業の将来の財産だからですかね。。。

ちょっと質問が難しかったですかね。
確かに人材は会社にとって財産であり、特に新卒は将来会社を支える大事な財産であることは間違いないです。
ただメインの理由は他にあります。それは何かというと、新卒を採用することは単純に会社の大事な「お金」に関わる判断だからです。
それではヒカリさんに質問です。
新卒ひとりに内定を出す時、企業はどのくらいお金がかかる覚悟を持っていると思いますか?

えぇー!急ですね!!
あんまり深く考えてもわからないから・・・
じゃあ、500万円!!

おいおい、それは高すぎだろ!
マスター!さすがにもっと安いですよね?

そんなことないですよ!
正解は2000万円ですから!

えぇーーーーーっ!!!!
たかっ!!!

なんでそんなに高いんですか?!

どの会社も大体、新卒は最初の3年間を勉強期間としてみてます。それ以降はちゃんと一人前になって利益を出せる社員になってもらうために教育をしていきます。
一番イメージわきやすいのは、出社して初日は誰も会社に利益を出せないでしょう。そして最初にもらう給与は自分が貢献して出した利益からもらうのではなく、先輩が出した利益から給与をもらってます。
なので会社としては、新卒に対して最初の3年間は先行投資です。その間は勉強期間なので、利益ではなくコストを生み出す人材なのです。
それでも3年目以降は会社に利益を出す人材として活躍してもらう計算なので、会社は新卒に先行投資をするのです。
会社が新卒に支払う給与や福利厚生、社会保険料や備品など全て含めると、3年間で大体2000万円かかると言われています。
だから、企業が「内定!」と伝えるときは、2000万円を目の前の就活生にかけても良いか判断しているのです。
2000万円という大きな金額はやはり経営層が判断すべき大きな意思決定なので、最終面接は社長や役員など経営層が行うことが多いということです!

いや~、びっくりしました!
企業も内定を出すときは大きな決断をしてるんですね!

そうなんです!
なぜ、この話をしたかというと、企業が内定を出す時にこれだけ大きな判断をするということは、学生側は2000万円かけても大丈夫です!と相手に安心感を与える必要があります!
どうやって安心感を与えるかというと、、、「覚悟」です!!
最終面接の選考基準はズバリ「覚悟」になります!ここまでの話を聞いていれば納得ですよね。

もちろんです!
最終面接は学生側も覚悟をもって臨まないと、企業にも失礼ですし、何より2000万円かけても大丈夫だと安心してもらえないです。
なんだか今から緊張してきました・・・

トオルは緊張しやすいもんね!
まだ始まってもいないのに早すぎでしょ!
私みたいにもっと心に余裕をもたないと!

そこ”だけ”はヒカリを見習わないとな!!

「だけ」は余計!!
今日から私を師匠と呼んでいいわよ♪

師匠!
次は自己分析に参りましょう!!

もぉ~!!
マスターはやめてくださーい!!